不動産業者チェック
← 事例で学ぶ
賃貸・退去

退去したら、敷金が戻るどころか追加で請求された

退去の精算書を見て、目を疑う。敷金が戻ってこないどころか、追加で払えという。クロスの張替え、ハウスクリーニング。金額は、預けた敷金を超えていた。退去時の原状回復トラブルは、国民生活センターに毎年1万3千件前後。賃貸の相談で最も多い類型のひとつだ。実際の相談と裁判所の判断から、防げるポイントを見ていく。

事例

ある人は、家賃10万円ほどの部屋に1年半住み、退去した。届いた請求は、各部屋のクロス張替えに約14万円。契約の特約によるハウスクリーニング費も加わり、合計でおよそ20万円。預けた敷金約20万円が、まるごと消える計算だった。クロス張替えのことは契約書になく、入居したときからあった傷の分まで含まれているように見えた。

別のある人は、築17年のアパートに約4年住んで退去した。請求額は、約90万円。見直しを求めて70万円までは下がったが、そもそも壁紙も床も、入居した時点ですでに汚れていた。

解説

退去時の原状回復は「入居時とまったく同じ状態に戻すこと」ではありません。国土交通省のガイドラインや2020年4月施行の改正民法では、通常の使用で生じる損耗(通常損耗)や経年変化の修繕費は、原則として貸主の負担とされています。日照によるクロスの変色、家具を置いた跡、経年劣化などがこれにあたります。

「退去時のクリーニング費は借主負担」といった特約があっても、それだけで当然に有効になるわけではありません。最高裁判所は2005年12月16日の判決で、借主に通常損耗の修繕まで負担させるには、負担する範囲が契約書に具体的に書かれているか、口頭で説明され借主が明確に認識して合意したと言える必要がある、と判断しています。

トラブルになりやすいのは、通常損耗まで借主に負担させる請求、範囲や金額があいまいなクリーニング特約、立会いをせずに後から内訳のはっきりしない高額の請求が来る、といったケースです。

契約前に、この一言で確認できる

この請求は国土交通省ガイドラインの負担区分に沿っていますか?通常損耗・経年変化の分は含まれていませんか?見積りの内訳を書面でください。

通常損耗・経年変化は原則として貸主負担。内訳を確認すれば、本来払わなくてよい分を見分けられるため

確認のポイント

  • 入居した直後に、既存の傷・汚れ・設備の状態を日付の残る写真や動画で記録する
  • 契約書のクリーニング特約・原状回復の条項を、入居前に範囲と金額まで確認する
  • 退去時は必ず立会いに同席し、指摘された箇所をその場で記録する
  • 見積書・精算明細の内訳(箇所・単価・負担区分)を確認する
  • 古い設備・壁紙に新品同額が請求されていないか、経過年数による減額を確認する
  • 納得しにくい請求は、ガイドラインを示して交渉し、消費生活センター(188)に相談する

関連する解説・チェックリスト

退去・原状回復のチェックリスト原状回復とは

参考(一次ソース)

このサイトで業者の公開情報を確認する

依頼しようとしている業者の名前や免許番号で検索すると、免許の状態・行政処分歴・商号や所在地の変更履歴などの公開情報を確認できます。

業者を検索する →

もし、もう困っているとき・確かめたいときの公的な窓口

トラブルにあったときも、契約前の確認のときも、次の公的な窓口に相談できます。いずれも中立の公的機関です。