退去・原状回復のチェックリスト
賃貸の退去では、敷金の返還や原状回復費の負担をめぐってやり取りが生じやすくなります。 入居時から敷金精算までの段階ごとに、確認することと、貸主・管理会社に聞く質問をまとめました。 負担区分の考え方は、用語解説の原状回復もあわせて確認できます。
入居時にやっておくこと
退去時のトラブルの多くは「もともとあった傷か、自分がつけた傷か」の切り分けで起きます。入居直後の記録が、後で効いてきます。
- 入居直後に、部屋全体と既存の傷・汚れを写真や動画で記録する(撮影日が残る形で)
- 壁紙の傷、床のへこみ、水回りの汚れ、建具の不具合など、気づいた点を管理会社へ共有しておく
- 契約書・重要事項説明書・物件状況の確認リストを保管しておく
- 契約書の「原状回復」「クリーニング特約」など、退去時費用に関する条項を読んでおく
退去が決まったら
解約の予告期間は法律ではなく契約で決まります。通知が遅れると、住んでいない期間の家賃が発生することがあります。
- 契約書で解約の予告期間(退去の何ヶ月前までに通知するか)を確認し、期間内に通知する
- 退去日・立会いの日時を決め、書面やメールなど記録に残る形でやり取りする
- 退去時に同じ箇所をもう一度写真記録し、入居時の記録と比較できるようにする
退去立会いで確認すること
通常の使用で生じた損耗や経年変化は、原則として貸主負担です(民法621条)。立会いでの確認内容は、その場で控えておきます。
- 立会いに必ず同席し、指摘された損傷をその場で確認する
- 口頭で「これは借主負担」と言われた項目を、箇所ごとに控える
- 通常損耗・経年変化(日照による壁紙の変色、家具設置跡など)まで借主負担にされていないか確認する
- その場で金額を提示された場合も、明細が出るまで署名・合意を急がない
敷金の精算・返還
敷金は、明渡し(鍵の返却)後に、未払賃料や借主負担分を差し引いた残額が返還されます(民法622条の2)。返還の期限は契約によります。
- 見積書・精算明細書の内訳(項目ごとの単価・数量・負担区分)を確認する
- 古い設備・壁紙なのに新品同額が請求されていないか、経過年数による減額が反映されているかを確認する
- クリーニング特約などの特約がある場合、負担範囲と金額が具体的に示されているかを確認する
- 敷金の返還時期と返還額(控除の内訳)を書面で受け取る
- 金額に納得しにくいときは、支払い前に消費生活センター(消費者ホットライン188)に相談する
借主が負担する場合でも、壁紙や設備の価値は、住んだ年数に応じて下がっていくと考えます(経過年数の考慮)。 国土交通省のガイドラインでは、たとえば壁紙(クロス)は6年ほどで残る価値が1円になるものとして扱われます。 入居が長いほど、古くなった内装の借主負担は小さくなります。見積りに新品と同じ額が請求されていないか、経過年数が反映されているかが、金額を見るときの判断の目安になります。
貸主・管理会社に渡す質問
そのまま渡せる質問です。回答を書面でもらうと、後から確認できます。
退去時の原状回復の負担区分は、国土交通省ガイドラインに沿っていますか?書面で見せてください。
通常損耗・経年変化が借主負担にされていないかを確認するため
請求の見積書・精算明細書の内訳(箇所・単価・数量・負担区分)を出してもらえますか?
何に対する費用かを項目ごとに確認するため
壁紙や設備の費用は、経過年数による減額を反映していますか?
古いものに新品同額が請求されていないか確認するため
クリーニング特約などの特約がある場合、負担する範囲と金額を教えてください。
契約後に判明しがちな費用を、内容と金額まで確認するため
敷金はいつ、いくら返還されますか?控除した項目の内訳を書面でください。
返還時期と控除の根拠を記録の残る形で確認するため