3年目の冬に気づいた——リビングの3分の1だけ、床暖房がなかった
新築マンションの契約。分厚い重要事項説明書の説明は、1分ほどで終わった。言われるまま署名し、入居する。異変に気づいたのは、3年目の冬だった。リビングの足元の一部が、いつまでも冷たい。実際の裁判例から、契約前にできることを見ていく。
事例
ある人が、新築マンションの一室を買った。契約のとき、重要事項の説明はあった。ただ、間取図を広げての説明は、あっという間に終わった。
最初の冬から、その一角だけ妙に寒いとは感じていた。ただ、ラグを敷いていたこともあり、「そういう間取りなのだろう」とやり過ごしていた。はっきりおかしいと思ったのは、3年目の冬。ラグをどけて確かめると、リビング・ダイニングの約3分の1の範囲に、床暖房が入っていなかった。その部屋は、以前の申込者が床暖房をキャンセルした経緯のある住戸だった。
売主に設置を求めたが、応じてもらえない。裁判になった。説明が十分でなかったと判断され、損害の賠償が認められた。
解説
重要事項説明は、契約の前に、宅地建物取引士が書面を交付して説明する手続きです。物件の状態や契約条件など、判断に関わることを伝えるためのものですが、当日に短時間で形だけ進むと、買主が内容を理解しないまま契約してしまうことがあります。
上のケースでは、間取図の交付や説明の記録が十分でなく、説明にかけた時間も短かったことから、十分な説明がされていないと判断されました。「サインはした。でも書類をめくっただけだった」という状態は、後で問題になります。
重要事項説明では、設備の有無や、法令上の制限(その土地に建てられるか・住めるか)、私道の負担、過去の事案など、後から取り返しにくいことほど、契約前に確認しておく価値があります。
契約前に、この一言で確認できる
重要事項説明書を、契約日より前にデータか写しで先に送ってください。説明してくれるのは宅地建物取引士ですか?
事前に読めば、当日に短時間でサインする状況を避けられる。資格者による説明かも確認できるため
確認のポイント
- 重要事項説明書は、契約日より前に写しやデータで受け取り、落ち着いて読む
- 説明するのが宅地建物取引士か、宅地建物取引士証の提示があるかを確認する
- 設備の有無・仕様(過去にオプション変更やキャンセルのある住戸か)を確認する
- 土地なら、再建築できるか・住める用途か・私道の負担はあるかを確認する
- わからない点はその場で質問し、必要なら書面で補足してもらう
関連する解説・チェックリスト
参考(一次ソース)
もし、もう困っているとき・確かめたいときの公的な窓口
トラブルにあったときも、契約前の確認のときも、次の公的な窓口に相談できます。いずれも中立の公的機関です。
- 消費者ホットライン 188(いやや) →
契約や解約でのトラブル・不安を、まず相談できる最寄りの消費生活センターにつながります。
- 国土交通省 宅地建物取引業者 検索 →
免許の登録内容を、国の公式データベースで直接確認できます。
- 国土交通省 ネガティブ情報等検索サイト →
行政処分の記録を、公表元で直接確認できます。
- 不動産適正取引推進機構(RETIO) →
不動産取引の相談・紛争処理を扱う公的な機関です。